一人っ子遠距離介護、私の場合⑯ 母、訪問販売にムシられる。

まだ母が自宅で暮らしていた頃。母宅に行くと、なぜか2㎏の米袋が2個。液体洗剤の瓶が3本。「どうしたの?」と聞くと、「よくわからない。」と、なんだか要領を得ない。それでも根気よく尋ねたら、じわっと思い出したようで、新聞の購読申し込み書を出してきた。2年間の契約になっている。

 

「お母さん、もう新聞とってるよね~?」もう長年とってる新聞があるのに、拡張員に無理やり契約させられたようだ。80過ぎのおばあちゃんに(しかも、もう1紙すでに購読してるのに)長期契約って何なの?!ということで、夫が、その景品全部持って販売店に出かけて断ってきた。これで、この件は一件落着である。良かった…とホッとするが、この手の話には本当に嫌な思い出がある。

 

母は、10年ほど前に訪問販売で数百万ほどムシられたことがある。布団であった。

 

ことの発端は、「布団の打ち直しをしませんか?」という飛び込みの訪問販売が来たことから始まった(らしい)。当時、テレビコマーシャルも流していた会社だったので、母は信用して打ち直しを頼んだようだ。

 

その後、なんだかわからないが上手に家に入り込んで、羽根布団のがわ生地を取り換えるのを勧められたのを皮切りに、タオルケット・夏掛け・敷布団・毛布・敷きパット・などなど次から次から買うことになった。

 

一段落すると、今度は別の会社がやってきてまた色々勧める。家に上がり込んで帰らない。根負けして、買ってしまう。というのを、母は繰り返してしまった。

 

羽根布団などは、前の年にがわ生地を替えたのに、また別の会社が来て「生地が傷んでいるから替えないとダメ。」とかなんとか言って、て持って行ってしまう。それを3社が入れ替わり立ち代わりして繰り返したようだった。結局、一枚の羽根布団で3回儲けたわけだ。

 

「もう買えない。」と母が言うと、今度は脅されるようになった。ドアをこじ開けるようにして家の中に無理やり入り込む、居座る、「30万払えば、もうこれ以上買わなくていいようにできる。」などなどと恐喝されるようになった。

 

と、事ここに及んで初めて、母は私に助けを求めてきたのだった。

 

びっくりしましたよ、ホントに‼ 訪問販売のトラブルや詐欺なんて、まさか自分に降りかかってくると思ってないもの。

 

母のところへ飛んで行って、布団類を確認し、領収書を全部持って消費者センターに相談した。もう、クーリングオフの期間はとっくに過ぎていたが、なんとかしてほしいと必死に頼んで交渉してもらった。

 

購入の経過、恐喝まがいの販売方法、一枚の羽根布団を短期間で3回も直していることなどを全部書面にして、業者との面会を取り付けてもらった。我が家に布団30枚ほどを広げ、手にレコーダーを持って、それぞれの業者と話をして全部返品・返金してもらうことになった。

 

消費者センターの担当の方が頑張ってくれたこと、たまたまその業者が社名公表直後だったり、倒産直前だったことも幸いして、(全額ではないが)8割強取り戻せたのは奇跡だと思っている。

 

もし今、ご縁があってこのブログを読んでいる方々で、親が高齢で独り暮らしの方がいるなら、訪問販売には気を付けて!と伝えたい。そして、ぜひ次のことを覚えていt欲しい。

  • 普段から親の家に行って、新しいものがどんどん増えてないか?ものを買ってないか見ておく。
  • クーリングオフ期間を過ぎていても、諦めない。市の消費者センターがダメでも都道府県の消費者センターに相談する。
  • 絶対に、親本人を責めない。

なんで、そんな高額なものを買うんだ!騙されるほうがおかしい!そんなふうに言いがちだけど、相手は言葉たくみなのだ。途中からは脅したりする。一人暮らしの高齢者(特に女性)は、恐ろしくて逆らえなくなる。今回で最後だ…これさえ払えば解放される…と思ってずるずる払い続けるところまで追いつめられる。

 

親は、こんな目にあったことを子供に知られたくないので、ぎりぎりまで黙っている。恥ずかしいと思って1人で悩んでいるうちに、大事になってしまう。

 

オレオレ詐欺だって訪問販売だって、騙す方が悪いんです。親は悪くない。